メイキング・オブ・『A STORY/ある物語』

作者註>作品本文中に登場する喫茶店「アカシヤ」。私の長年来の仕事場で、直木賞作家の常盤新平先生も常連です。スマートなマスターと美人ママの二人で切り盛りしています。でも、ママは「ママ」と呼ばれるのが嫌いなので、常連客はみな、「お母さん」と呼んでいます。





[補足資料]

 

メイキング・オブ・A STORY/ある物語

 

 

『A STORY/ある物語』

企画書

2008年6月15日

鈴木剛介 著

 

 

 

★キャッチコピー:

・「哲学でも科学でも宗教でもない『究極の真理』を見出してしまった男の、泣いて笑って恋をする知的ノンストップ・アドヴェンチャー」

 

★本書構想のきっかけ:

・そもそもは、実生活でチョムスキーとメールのやりとりをするうちに、『THE ANSWER』のロジックを非常にコンパクトな論文にまとめることができる、と気づいたのがきっかけでした。贅肉をそぎ落とした、いうなれば『THE ANSWER』の「背骨」がはじめてくっきりと見えたのです。

・そして、その短い論文を「オチ」にもってくることによって、そこにいたるまでのストーリーを、エンタテイメントとして再構築し、「真理」にまつわる、まったく新しい別の物語を書いてみたいと思いました。

・私も「最終理論」の発見から10年以上を経て、いろいろと経験しましたので、その諸々を、面白おかしくフィクショナイズしてみたくなったのです。

・『THE ANSWER』を支持する読者には、2種類ありました。「ロジック」に共感する読者と「物語」に共感する読者です。

・前者の人のためには、よりコンパクトにわかりやすくなった「ロジック」を提示できます。

・後者の人のためには、よりエンタテイメントにシフトしたフィクショナルな「物語」を提示できます。

・この「最終理論」にまつわる話しは、世界中で私にしか書けない物語です。『THE ANSWER』は、まぎれようもなく私のライフワークですが、ある意味でマニアックにすぎてカルトな本になってしまいました。今ならば、同じテーマで、より広い層の読者にリーチする本をかけるのではないか、という手応えを感じています。

 

★プロット:

・タテ糸……夢を追い求めて走り続けた男の感動と苦悩の軌跡。([THE ONE]であるという確信→[ONE OF THEM]であるという諦念→再び[THE ONE]であるという誇りを取り戻す→破滅→救済)&少年ジャンプ的知的バトル

・ヨコ糸……4人の男女の錯綜する恋愛模様。タイプが違う二人の女性の間で揺れ動く主人公の心の葛藤。

 

★主要登場人物紹介:

・澤村勇介(ゆうちゃん)……主人公。「よく知らないけど」が口癖。実家は牧場。

・岡田修作(JJ)……親友。「全部、仮説だよ」が口癖。

・北沢美月(ミズキ)……上記2人とともに、思想結社Xのメンバー。

・大西光(ヒカル)……喫茶店のウェートレス。勇介の恋人。

・家田鶴太……東大のノーベル物理学賞受賞者。ボスキャラ。

 

★目標:

・『ロッキー』の感動 (読者が主人公に感情移入して、応援したくなる感じ) &

・『ダ・ヴィンチ・コード』の興奮 (適度な学術的ウンチクと考察の配置による、知的好奇心をくすぐる感じ) &

・『アルジャーノンに花束を』の後味 (静謐でもの悲しく、不思議な読後の余韻)

 

★執筆の手法

・ショットガン・スクリプト (短いチャプターをたたみかけることによって、読む者を飽きさせない)

 

★本作のポイント:

・『インディ・ジョーンズ』や『ナショナル・トレジャー』、『トゥーム・レイダー』などで最後に発見される「秘宝」は、完全にフィクションの存在ですが、本作では、そのオチとなる「秘宝」(=真理)が、「現実(リアル)の存在」だということ。

・最後にオチとなる論文のサマリーを読み、「これは本物だ!」と思う読者と、「なんじゃ、こりゃ?」と思う読者と、おそらくは2種類想定できること。

・主人公をめぐり、「夢を追いかけろ」と励ます女性と、「現実を見ろ」と諭す女性、読者はどちらにでも感情移入して読めること。

・読み終わって、読者に「こんなに悲しい話はない」と思わせることができたら成功。「悲劇」、でも最後に「救い」の物語。

・実際にチョムスキーから返ってくるメールの内容にもよりますが、ハッピーエンドのバージョンも考えています。

 

★留意するポイント:

・物語の真ん中に一本太い筋を通し、ヨコ糸で味付けしながら、できるだけシンプルなストーリー展開を心がける。(少年ジャンプを参考に)

・高校生読者の目線で執筆する。 ・できるだけ外見描写はしない。読者の想像にゆだねる。

・『デス・ノート』のシリアスだけどマンガチックな頭脳戦の描写を参考に。

・独りよがりにおしつけがましくならず、読者が応援したくなる感じを出す。

・「哲学」という言葉を使わない。あくまで、ただの「ロジック」。

・映画化を狙うわけではないが、映画化したら面白そうなヴィジュアルな展開。

・精神病や自殺衝動は使わない。

・自分が狂っているのか、世界が狂っているのか、一眼国的葛藤。

・ラブ・ストーリーとしての骨格をしっかり作る。

・ユーモアを忘れない。いかにして盛り上げるか、に留意する。

・コミカルなハードボイルドタッチ。

・虚虚実実を織り交ぜて、リアリティーを出す。

・ロジックはできるだけ使わずに、ストーリーでエピローグまで引っ張り、それがどんな「真理」なのか、読者の興味をかきたてる。最後に種明かし。

 

★補記:

本作は、ジョーンズ博士(『自殺同盟軍』のサブキャラで、実在の人物)が、営業/販促用に、ハリウッド映画の予告編のような、30秒-3分くらいの「本のプロモーション・ビデオ」を監督/製作して、ウェブにUPしてくれることになっています。(ということを、今、相談しています)楽しみにしていてください。なお、本作は、ジョーンズ博士のスケジュールとのからみで、9月頃の完成を目指しています。

(以上)